淡路島をトリシティ125で走る予定だった。
往復のフェリーと宿泊先も予約した。
今までで一番遠くに行くツーリングになる予定だったので、ワクワクしていた。
出発前の休みの日、ふと気付いた。
肝心のバイクに乗れていない。
壱岐に行って以来である。
もっと乗りたい気持ちはあるが、時間と体力が追いつかない。無理して乗ったら危ないし。
臆病なライダーである。
とりあえずバイクカバーを外して、久しぶりに走ってみることにした。
淡路島へ行くために新門司港からフェリーに乗る予定だったので、下見も兼ねてフェリー乗り場まで行ってみる。
バイクに乗るにはちょうどいい気候だった。
雨上がりの空気はきれいな気がする。気のせいだろうか。
1時間ぐらいで着く予定だったので、その確認をするつもりだった。
ところが、フェリー乗り場に着いてから気付く。
何時何分に出発した?
ボケボケライダーである。
久しぶりのバイクを気持ちよく走らせ、フェリー乗り場にも無事たどり着けた。それだけで一人満足していた。
帰りは少し寄り道をしようとGoogleマップを見ていたら、すぐ近くに島があることを発見した。
さっそく行ってみる。
途中でコンビニに寄り、おにぎりを買った。
その島を眺めながら食べようと思ったのである。
陸地の中に埋もれた島。

というより、わたしが座っているベンチのあたりも、昔は海だったらしい。
今は埋め立て地と地続きになっているが、島の中には入れない。
周囲はぐるっと公園になっていて、外から眺めることはできる。
昔は人が住んでいた島だったようだ。
船着場だった場所は池のようになっている。
おにぎりを食べながら、その島で暮らしていた人たちのことを想像してみる。
たぶん、わたしの想像とはまったく違う生活だったのだろう。
昔そこに住んでいた人たちは、将来、おにぎりを食べながら島を眺めて、おかしな想像をしている人間がいるなんて思いもしなかっただろう。
どうでもいいことを考えた。
おにぎりライダーである。
帰りに灯台へ寄り、関門橋の下を通り、気持ちのいいミニツーリングを楽しんだ。

そして次の淡路島ツーリングに備えて、ガソリンを入れようとスタンドに入った。
ガソリンを満タンにしてキーをオンにしたら、「V-BELT」の警告が出た。
えー、えー、どうしたらいいのー。
エンジンはかかったので、そろそろと家まで帰る。
そしてAIに聞いてみた。
「警告出たんだけど、来週ツーリング行っても大丈夫かなあ」
答えは、
「すぐに切れるという意味ではないけれど、交換時期の警告です。心配しながら長距離ツーリングするのはおすすめしません」
というものだった。
状態を見てもらい、部品を取り寄せて修理となると、わたしの休みの都合もあって出発には間に合いそうもない。
臆病なライダーは、警告が出ている時点で落ち着いて乗れない。
ツーリングどころではないのである。
悲しいけれど、フェリーの予約をキャンセルした。
淡路島ツーリングは見送った。
まだ遠くへ行くのは早いんじゃないか。
トリシティにそう言われた気がした。
そう思うことにした。
とても残念だけれど。